Appleは米国時間で2023年3月27日、日本時間で2023年3月28日にiOS16.4、およびiPadOS16.4をリリースしました。
今までのiOS、およびiPadOSと変わったポイントについて気になっている人も多いでしょう。そこで、iOS16.4とiPadOS16.4へのアップデートの内容と注意点についてまとめてみました。
iOS16.4とiPadOS16.4共通の変更点は8つ
iOS16.4とiPadOS16.4共通での変更は8つあります。
過去のアップデートに関しての詳細は、公式サイトをご確認下さい。
大幅なセキュリティアップデートが入った
iOS16.4とiPadOS16.4では、セキュリティ上の脆弱性が修正されています。
修正された脆弱性は30以上とも言われており、中には個人情報流出の可能性を含むものもあるため、すでにiOS16、iPadOS16系をインストールしている人はアップデートしておいた方が良さそうです。
修正された脆弱性の代表例
Apple Neural Engine、Bluetooth、カレンダー、iCloud、CarPlay、「探す」、カメラ、写真、Podcasts、Safariなど、様々な部分で脆弱性が修正されているとのことですが、ユーザーの知らないうちにアプリ側で任意のコードを実行できてしまう脆弱性も修正されています。
- Accessibilityにおいて、「サードパーティーのアプリ側でユーザーのアドレス帳の情報にアクセスできてしまう」
- AppleMobileFileIntegrityにおいて、「アプリ側でユーザーのセンシティブなデータにアクセスできてしまう」
21個の新しい絵文字が追加された
iOS16.4、およびiPadOS16.4では、新しい色のハート、ロバ、震えた顔やWi-Fiマーク、クラゲなどの21個の新しい絵文字が追加されています。
iOS 16.4で追加の絵文字(画像出典:emojipedia)
新しい絵文字をSNSなどで使用する場合には、注意が必要です。新しい絵文字に対応していない端末、例としてiOS16.4未満のiPhoneなどにおいては新しい絵文字が表示されず、文字化けを起こす可能性があります。
送ったメッセージが意味不明な文章に見えてしまう可能性もあるため、新しいOSが世の中に定着するまでは使用を控えるなどの工夫が必要になるでしょう。
Webアプリでもプッシュ通知が利用可能
プッシュ通知機能は、iOS16.3.1まではApp Store経由のネイティブアプリでのみ有効でした。iOS16.4、およびiPadOS16.4においては、Webアプリでもプッシュ通知機能が追加となっています。
利用するにはまず、Webアプリを以下の手順でホーム画面に追加する必要があります。
Safariの場合
- ブラウザを開く
- Webアプリを提供している、Webサイトを開く
- ブラウザ下部の「共有ボタン」をタップする
- 出てきたメニュー内の「ホーム画面に追加」を選択
- Webアプリの名前を必要に応じ変更してから、「追加」をタップ
ホーム画面へのWebアプリのアイコン追加機能を強化
今までのiPhoneではSafari限定の機能として、ホーム画面にWebページのショートカットになるWebアプリのアイコンが追加可能でした。
今回のアップデートにより、Safari以外のChromeなどのブラウザからもWebアプリのアイコンを追加できるようになりました。
セルラー通話で「声の分離」が可能になった
元々、SkypeやLINEなどのネットワーク音声通話時、周囲ノイズを軽減するマイクモード「声を分離」を利用可能でしたが、セルラー通話には非対応でした。
今回のアップデートにより、セルラー通話でも声が聞き取りやすくなります。
従来と同じく、コントロールセンターで設定変更が可能です。通話中にコントロールセンター機能でマイクモードをタップすることで「声を分離」の項目が出てきます。
iCloud共有写真の重複項目の抽出が可能になった
今までのiOS、およびiPadOSでも、重複項目の抽出は可能でした。重複項目の抽出とは、写真アプリのアルバムタブで下までスクロールし、重複した写真や動画の抽出をする機能です。
iOS16.4、およびiPadOS16.4では、iCloud共有写真ライブラリ内の重複する写真やビデオも抽出が可能になっています。
重複項目の抽出は、iCloudストレージ容量の空きが少ない場合に活躍します。
重複した写真や動画データによるストレージ容量の圧迫を解消できるため、アップデート後に活用すると良いでしょう。
ヌード写真に警告をするChild Safety機能に対応
iOS16.4、およびiPadOS16.4では、「Child Safety(コミュニケーションの安全性)」というヌード写真に警告をする新機能が追加されました。
iCloudのファミリー共有でお子さんのアカウントを管理している際、お子さんのiPhoneでヌードを含む写真を受信した際に警告表示が可能です。
手順に関しては、以下の通りです。
Child Safetyの設定手順
- 設定からAppleIDを開く
- ファミリー共有の任意の子アカウントを選択
- スクリーンタイム内のコミュニケーションの安全性を有効化する
- ヌード写真を判別し、メッセージアプリでの受信時にぼかしが入るようになる
PS5用のコントローラーのサポート開始
iOS16.4、およびiPadOS16.4において、プレイステーション5用であるDualSense Edgeワイヤレスコントローラーのサポートが開始されました。
すでにコントローラーは発売済みでしたが、Appleデバイスで非対応のままだったため、待っていた方には朗報と言えるでしょう。
iPadOS16.4のみの新機能は1つ
11インチiPad Pro(第4世代)および12.9インチiPad Pro(第6世代)に限定されますが、iPadOS16.4で強化された機能があります。
メモ、もしくは対応アプリでApple Pencilの機能を強化
メモ、または対応しているアプリで、Apple Pencilの機能が強化されています。
書く前にあらゆる角度での筆跡をプレビューできるよう、Apple Pencilのポイント機能は「傾斜角と方位角」に対応しました。
細部の機能向上とバグ修正も実施されている
iOS16.4、およびiPadOS16.4では、その他の細部の機能向上やバグ修正も実施されています。
公式にアナウンスされていない修正、改善もある
軽微な修正や改善も実施されているようですが、一部、公式にアナウンスされていないものもあるようです。
- VoiceOverが「天気」アプリの地図に対応
- VoiceOverでキャプションパネルをオンにすると動作が重くなる不具合を改善
- ヒントアプリにガイドが追加
- 光の点滅やストロボ効果がビデオで検知された場合に、表示を自動的に暗くするアクセシビリティ設定を追加
- 子供からの承認と購入のリクエストが親や保護者のデバイスに表示されないことがある問題の修正
- Matterと互換性のあるサーモスタットをApple Homeとペアリングしたときに、サーモスタットが反応しなくなる可能性がある問題の対応
- 【iPhoneのみ】iPhone 14とiPhone 14 Proモデルでの衝突事故検出を最適化
- 【iPadのみ】メモAppで描画中や手書き中に発生する可能性があるApplePencilの反応に関する問題を修正
iOS16.4、およびiPadOS16.4のアップデートは要注意
iOS16.4、およびiPadOS16.4にアップデートする際の注意点も把握しておくと良いでしょう。確認不足だと、アップデートを後悔する事も考えられます。
アプリが新しいiOSやiPadOSに対応していない場合がある
利用中のアプリによっては、新しいiOSやiPadOSの影響で最悪、動作しなくなる場合もあります。初期インストールアプリ以外で使用しているアプリに重要なものがあれば、対応状況の確認を行なってからアップデートした方が良いでしょう。
ストレージ容量不足とインストール時間に注意
iOS16.4、およびiPadOS16.4のアップデートファイルのデータ量はそれなりに大きなものとなっているので注意しましょう。
端末によって若干の誤差も有るようですが、参考までに以下に記載します。
ファイルデータ容量とインストール時間の目安
iPadOS16.4 | 1.69GB |
---|---|
iOS16.4 | 1.93GB |
目安として、インストールには約44分から1時間かかる事が多いようです。
深刻な不具合がないか注意が必要
今回のiOS16.4、およびiPadOS16.4のようなマイナーアップデートよりは、iPadOS16からiPadOS17へのアップデートのようなメジャーアップデートで発生する事が多いようですが、深刻な不具合が出る場合もあります。心配な方は、先行してインストールした人の反応を待つのも重要でしょう。
例えば、以下のような不具合が発生する可能性があります。
- バッテリーの残量が異常に早く消耗する
- 端末が異様に熱くなる
- 一部アプリが起動しなくなる
- 一部アプリで正常に通信が行えない
- 一部アプリでエラーが発生する
- 外部周辺機器と通信できない
アップデート対象外の機種に注意が必要
新型機種の発売に合わせ、iOSやiPadOSがアップデートされるのが恒例となっています。
メジャーアップデートの際には、アップデート対象外の機種が出る事もあるので、注意しましょう。
セキュリティ上の問題もさることながら、新機能や最新版のアプリが利用できない問題があるため、端末自体を新しくするのは早めに検討する事をおすすめします。
法人であれば、カリナイトのレンタルを利用するのも良いでしょう。
iPadのアップデート対象外は増えている
iPadOS16にてアップデート対象から外れたiPadは、iPadOS16.4でもサポート対象外となります。
iPadOS16でアップデート対象外のiPad
- iPad Air2
- iPad mini4
iPadOS17でアップデート対象外と予想されるiPad
- iPad(第5世代)
iPhoneのアップデート対象外は増えている
iPadと同様、iOS16にてアップデート対象から外れたiPhoneも、iOS16.4でサポート対象外となります。
iOS16でアップデート対象外のiPhone
- iPhone6s
- iPhone7(2016年モデル)
- iPhone7 Plus(2016年モデル)
- iPhoneSE(第1世代)
iOS17でアップデート対象外と予想されるiPad
- iPhoneX(2017年モデル)
- iPhone8(2017年モデル)
現在、新しく発生した重大な不具合は少ない
現在のところ、今までの不具合が改善した報告が多く、新たな不具合に深刻なものは少ないと思われます。また、LINEやTwitterといった主要なSNSでは特に問題は出ていないようです。
不具合の多くは、サードパーティー製アプリの動作に集中している傾向にあります。
Siriに接続できない
iOS16.4、およびiPadOS16.4にアップデート後、8時間以上もSiriに接続できず、「時間を置いてお試し下さい」の状態となる場合があるようです。
Siriをよく使っている人にとっては重大な不具合と言えますが、Siriを使わない人などは無視できる不具合でしょう。
充電ケーブルを繋いだまま放置したら改善したという話が上がっているため、解決できる不具合である可能性があります。
待ち受け画面の表示がおかしくなる
iOS16.4、およびiPadOS16.4にアップデート後、アンテナとG表示が消えてバッテリーのみの表示になる事があるようです。
再起動で直ったという話があり、解決できる不具合だと思われます。
システムデータが0KBと表示される
iOS16.4、およびiPadOS16.4にアップデート後、設定画面上のシステムデータが0KBと表示される場合があるようです。
端末の動作には支障がないため、軽微な不具合と言えるでしょう。
なお、システムデータ自体が減少している事は確からしく、ストレージ容量が10GB程度増えているというケースが確認されています。
一部のサードパーティ製の音楽アプリが正常動作しない
「cut&loop」というオーディオプレーヤーアプリで、アルバム、プレイリスト、ポッドキャストの選択が行えない不具合が出ているようです。
初期インストール以外のアプリでは正常動作しない不具合が発生する可能性があるため、心配な方は各アプリの公式アナウンスを待つのも良いでしょう。
また、d払いアプリの一部サービスが利用できなくなっているようです。
詳細についてはDocomoのd払いについての障害情報としてお知らせが出ています。気になる方は、以下のリンクから確認すると良いでしょう。