先日、「第7回 Japan IT Week 関西」に参加してきました。参加後、来場者側から見て感じた事があったので紹介していこうと思います。
あくまで一人の参加者としての見解ではありますが、次回出展の参考にされるのも良いのではないでしょうか。
事前の調査・準備が必須
展示会の規模にもよりますが、ブースの数はかなり多く、事前に興味のあるブースを探しておく必要があります。
後に説明する理由から、事前調査・準備が不足しているとまともに周る事ができません。
ブースの配置を把握しておかないと、効率が悪い
各イベント会場では公式サイトなどで地図が提供されている他、展示会の公式サイトでブースの配置マップが出ています。展示会の公式サイトでは出展のざっくりした概要を見ることができる場合も多いため、事前にしっかりと見ておくことが重要です。
必ず見に行くブースの位置、できれば見に行くブースの位置など、優先順位をつけるのもおすすめです。実際、目的のブースはほぼ全て見に行くことができました。
展示会場内は構造上、似たような景色を見ることになります。当然、大きな展示会場であればあるほど、迷いやすくなっています。
実際に参加してみて、展示会場内の配置を頭に入れておき、地図を確認しながら動く重要性を実感しました。最終的に歩き疲れるという、物理的な問題もあります。
足を止めてブースを見ているだけで声がかかる
出展者側はお金をかけて出展している以上、できるだけ多くの来場者と接点を持とうとするのが普通でしょう。当然、足を止めてブースの内容を見て確認するだけでも来場者に声がかかります。
もちろん、興味が出た来場者から声をかけてくるのを待つ出展社も存在しますが、少数派であるように感じました。
目的のブースに向かうだけでも、いたるところから声がかかります。意思をしっかり持ち、目的外のブースは「後で」と断る必要があるでしょう。
自社の困り事を言えないと話に時間がかかる
特に目的なく出展社を見て回る場合、どうしても「こんな事ができないか?」と抽象的な話になりがちです。
出展社側には意図を読み取ろうとする所もありますが、いずれにしろ具体的な商談に入る前から時間がかかる事になります。
以下のような話を伝えることができるようにしておくと良さそうです。
- どの分野のどういった情報を必要としているか
- 現在の事業の弱点、強化すべきポイントはどこか
目的を絞る必要がある
展示会にはたいてい、1日あたり7時間前後の開催時間があります。しかしながら、7時間は全てのブースをしっかり見て回るには時間が足りません。
事前の調査で回るブースの優先順位を付ける事も重要ですが、目的を絞らなければ1ブースに1時間近くかけてしまうこともあります。
マッチング優先
展示会をマッチングの機会と捉え、関係性を作り、仲良くなるのも重要。商品の紹介はあまりせず、ヒアリングに集中するのも短時間でブースを周りやすい方法です。
いかに商品やサービスが優れていても、信用がなければ契約に結びつかない事もあります。
後日、オンラインで商品・サービス説明やお困りごとの具体的な解決案の打ち合わせに時間をとる約束ができるかがポイントになりそうです。
名刺交換優先
時間がなくなってきた時に多いのですが、「とりあえず名刺交換だけでも」と名刺交換をひたすら行うのも短時間で多くのブースを周る方法です。
いきなり名刺交換してしまった方が話をすすめやすい場合もあります。できるだけブースを多く周るのであれば、名刺交換だけにとどめると良いでしょう。
商品・サービス紹介優先
直接的な売上につなげるわけではなく、商品・サービスの認知度向上を重視しているブースもあるでしょう。
例えばすでに一定の信用を得ている大手企業では会社を知ってもらう必要もないため、商品・サービス紹介に注力しているのを見かけます。
しかし、明確な目的を持っている来場者は、目的外のブースに時間を使うことを嫌うはずです。商品・サービスの紹介だけの話をする場合、「3分だけ」などと話し、手短に済ませる事が重要になります。
特に来場者に明確な目的がない場合は、逆に声かけでブースに迷う必要がなくなるので喜ばれる事もあるでしょう。
目的別比較
時間効率 | 信用獲得 | 認知度向上 | |
---|---|---|---|
マッチング優先 | △ | ○ | ✕ |
名刺交換優先 | ○ | ✕ | △ |
商品・サービス紹介優先 | △ | ✕ | ○ |
良いノベルティは配布目的が考慮されている
ノベルティを配布する目的は、ユーザーの関心を引き、自社の認知度や企業イメージを上げることであるとされています。
名刺交換だけなど、認知度向上がネックとなる場合にノベルティが一役買う事は容易に予想できるでしょう。しかしながら実際に配られているノベルティを見ると、目的が達成されていないように見えるものもあります。
目的を考慮すると、以下のポイントをおさえてある必要があるでしょう。
- 使用頻度や話題性の高いグッズであるか?
- 企業名やロゴ、周知したい商品名が記載されているか?
- 企業イメージを上げるものになっているか?
- 携帯できるなど、長期使用が可能か
使用頻度や話題性の高いノベルティ実例
ボールペン
ボールペンは使ってもらいやすく、社名ロゴも入れやすいのでノベルティの王道とも言えるでしょう。胸ポケットに入れてしまえるため、もらいやすいものでもあります。
ただし、他のブースのノベルティとかぶりやすく、話題性も高いとはいえないため、差別化には苦労しそうです。
小型食品
小型の食品は喜ばれやすく、自社のPRも入れ込みやすいノベルティです。
ただし、賞味期限の短いものはノベルティとして長持ちしないので、避けたほうが良いでしょう。
衛生・健康品
衛生品や健康品は使用頻度が高く、消費期限が長いものが多いため、ノベルティとして長く活躍することが想定されます。
ただし、目立つところに企業ロゴが入っていると使われにくくなる可能性もあります。
シールグッズ
シールグッズは、使用頻度はあまり高くはないものの、持ち帰りやすいのでつい、もらってしまいます。
企業ロゴだけではなく、何らかの俳優やアニメキャラクターとのコラボをしたものは話題性が高く、使用頻度が高くなる可能性がありそうです。
面白グッズ
多くのブースが出ていると、使用頻度を意識したグッズばかりでは他社と被ってしまい、埋もれやすい事が考えられます。
面白グッズは物によってはゴミ同然にされてしまう可能性はあるものの、話題性という点でこの上ないノベルティになる可能性もあります。
例えば、Japan IT Week 関西では、ゴムボールのような感触、柔らかさで衝撃を受けると光る面白グッズが配布されていました。企業ロゴがついていなかったのが残念ですが、個人的には嬉しいノベルティです。
便利グッズ
ちょっとしたことに使える小物は、使用頻度、話題性ともに高くなる事もありそうです。
他のブースと頻繁にノベルティが被る出展社は一考の価値があるのではないでしょうか。
ポケットティッシュ
Japan IT Week 関西では配布されているのを確認していませんが、ポケットティッシュはノベルティでよく使われます。
持ち帰りやすいサイズ、企業ロゴやサービス紹介などの入れやすさなど、
企業名やロゴ、商品名の記載方法例
企業名やロゴ、提供している商品やサービスの名称などをノベルティに記載しておくことをおすすめします。展示会の会場を後にした時や、ふとした時にどんな企業からもらったのか気になって確認する事もあるためです。
特に話題性の高いものは会社に持ち帰り、来場した人以外にも見てもらえる可能性があります。
シール
最も簡単な方法ですが、剥がれてしまう事もあり得るため、グッズ次第では使用できません。
印刷
専用の機器が必要になる事もありますが、剥がれることもなく比較的簡単に導入できます。
刻印
レーザー刻印などであれば、経年劣化で消えてしまうこともなく、もらった企業がノベルティを持ち続ける限りは宣伝し続けてくれるでしょう。ただし、ノベルティのコストが上がるのも珍しくなく、大量配布には向かない事も想定されます。
企業のイメージアップには、ノベルティのサイズも重要?
ノベルティは無料で配布されていることも有り、基本的には嬉しいものです。しかしながら、もらっても困ってしまう事もあります。
展示会場では、来場者が複数の企業からノベルティをもらうことは珍しく有りません。荷物が多くなれば動きづらくなるため、サイズとして大きなノベルティは扱いに困り、雑に扱われてしまうこともあるでしょう。
ノベルティはポケットに入るサイズであったり、カタログと一緒に渡しやすい厚みのないものなど、持ち帰ってもらいやすいものが理想ではないでしょうか。
持ち帰りにくいノベルティの例
カップ麺や箱入りのお菓子などは、持ち帰りにくいノベルティです。
食べ物は確実に使う物ではありますが、食べ切りタイプはすぐになくなってしまい、後々に会社名を思い出してもらえる事も少ないと予想されます。
個包装タイプの食品であれば、すぐに食べきる事もなく、ノベルティとして活躍する時間が長くなる事もあるかもしれません。
展示会に参加後のフォローで違いが出る
展示会に参加した来場者に、出展社はたいていメールを送るかと思います。
来場者側から見て、展示会会場でしっかりマッチングしていない限りはメールを見ない事も多いでしょう。見たくなるであろうメールに含まれる要素を紹介しておきます。
お互いの会社に興味を持てるよう、フォローが必要
良い商品・サービスであれば利用される可能性は高いはずですが、来場者としては似た商品・サービスが多数紹介されると選びづらくなるものです。
多数ある会社の中で判断基準となるのは、サービス内容に加えて「協力的であるかどうか」が重要であると実感しています。
自社の悩みを解決できる商品・サービスであることが前提ですが、以下の条件を満たしていると興味を持ってもらえるのではないでしょうか?
来場者の会社に興味を持っている
ただの押し売りの出展社には、来場者は興味を示さない場合があります。
弊社のカリナイトのサービスに対してのメールを想定し、興味がある場合の例を紹介します。
課題のヒアリングが出来ていない場合の例
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先日はJapan IT Week関西2023【インテックス大阪】で弊社ブースに来場いただき、ありがとうございます。
展示会の後、御社のレンタル事業のECサイトを見て、弊社のサービスで以下の改善にご協力できるのではないかと考えています。
- 配送料金のコストダウン
- レンタル商品を配送時の破損率ダウン
- 大型レンタル品の配送効率化
レンタル商品は何度も利用するものであると思いますので、弊社の耐久性に優れた商品であれば破損の心配は少ないかと思います。
また、弊社商品であれば弊社の倉庫から入出荷が可能であるため、配送料金のコストダウンも可能です。レンタル後、お客様から購入の依頼があれば弊社にて対応いたしますので、販売処理が必要な場合の手間も不要です。
その他、弊社の協力会社で大型商品の配送センターがあります。増加する在庫の管理にお困りであれば、ご協力できるかもしれません。
ご興味がございましたら、以下の日程のいずれかでお打ち合わせはいかがでしょうか?
○月△日 13:00~
△月□日 15:00~
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課題のヒアリング済みの例
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Japan IT Week関西2023【インテックス大阪】にて、御社のレンタル事業では○○の課題を抱えている事をお聞きさせていただきました。
展示会の後、御社のレンタル事業のECサイトを見て、弊社の以下のサービスで課題解決ができるのではないかと考えています。
- ○○サービス
御社のレンタルサービスでは当日発送には対応していないとの事ですが、弊社の○○サービスを利用する事で当日発送にも対応可能になるかもしれません。
○○サービスは御社に似た課題を抱える企業様にも導入いただいており、マッチする可能性があります。
その他、御社の状況について、展示会でお聞きしていない情報をいただく事で上記提案以外にもご協力できる場合もございます。
つきましては、以下の日程のいずれかでお打ち合わせはいかがでしょうか?
○月△日 13:00~
△月□日 15:00~
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展示会での事を思い出せるフォローが必要
展示会を後にし平常業務に戻ると、徐々に来場者の展示会での記憶は薄れていくものだと思います。特に展示会では無数の企業と挨拶する事もあり、印象に残るような事がなければ、会ったことすら忘れてしまう事も珍しくないのではないでしょうか?
同一のメール(DM)のようになっていないか
一斉送信のDMのような全社共通のテンプレートを見かけますが、同業他社に埋もれやすい所があるかと思います。
展示会場で話した内容の一部をメールに記載できていれば、ポイントが高いです。
来場者が思い出せるだけでなく、出展社自体も来場者をしっかり覚えていることが伝わるため、記載することをおすすめします。もちろん、多数の来場者の中でひとりひとり覚えておくのは難しいので、簡単なメモを残すなどの工夫は必要でしょう。
展示会で話せなかった事を捕捉できているか
理想としては、展示会場で不足していた情報を補足できているメールであることが望ましいでしょう。展示会場ではゆっくり話す時間が取りづらく、何かしら話しきれない事が多いためです。
信用獲得
事業内容のヒアリングが不足であれば、メールの主題には「詳しく事業の状況確認をしたい」旨の記載が必要です。
事業にメリットがある事を説明の上、打ち合わせなどの提案をしてもらえると、来場者側も商談をすすめる価値があると思えます。
出展社によっては、展示会に来場した方に向けた無料のセミナーを開催する事もあるようです。契約前の不安を解消する意味でも、セミナーで専門家としての力を見せてもらえるのは非常にありがたく、効果的と思われます。信用獲得のひとつの手段とするのも良いでしょう。
商品紹介
商品の案内が不足であれば、pdfでの資料添付なども有効です。
展示会場で「詳しい商品情報はメールにて案内」とお話していれば、「展示会場で商品のご紹介時間をとれず、申し訳ありません。お約束どおり、商品情報をまとめてお送りさせていただきましたのでご覧ください」などと前置きしたメールを送るのも良いでしょう。