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USB-Cで規格が統一! 経緯を解説します

USB-Cで規格が統一! 経緯を解説します

AppleがiPhone15でUSB-C移行への見解を示した

株価変動
Appleはこれまで、自社のiPhoneのみでLightingケーブルを継続していました。しかし、欧州連合(EU)の決定による影響で、ついに2023年に発売予定のiPhone15にもUSB-C搭載の見込みとなりました。
Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長を務めるグレッグ・ジョズウィアック氏がUSB-Cに移行していく見解を示した事により、早くもUSB-C関連部品を製造供給する見込みのサプライヤーの株価が大幅に値上がりしているようです。

サプライヤー情報元: 工商時報

Appleの独自規格は普及に苦労している

難しい顔をする人たち
電子端末の端子の統一は、実は昔からあった問題です。
しかし、今回のUSB-Cに関しては、EU圏での販売が不可能になるという法的効力があります。
Appleが従わざるを得ない結果となったといえるでしょう。

microUSBをめぐり、過去にも端子統一の話があった

2014年には、欧州連合(EU)からAppleを含めた10社に向けて、microUSBへの規格統一の要請がありました。
当時、Appleは要請に合意していたものの、端子そのものは変えない結果となっています。microUSBをLightingに変換するアダプタで要請に対応した、という事にしたのです。
欧州連合(EU)は、2017年までにiPhoneのコネクタをmicroUSBにするように名指しの要請もしました。しかし、当時は罰則もなく、そのままでした。

USB2.0に負けた自社規格

さらに遡れば、AppleはUSB2.0に自社の「FireWrire」や「Thunderbolt」といった規格がとって変わられた事もあります。
「FireWire」は「IEEE 1394」とも言われた端子。一本のケーブルで動画を双方向で転送できる性能は、当時では画期的なDV映像端子でしたが、USBほど普及しませんでした。

AppleがUSB-C採用を見送っていた理由

悩む女性
そもそも、Appleが今までUSB-C採用を見送っていた理由ははっきりしていません。
Appleのライセンスである「MFi認証」(Made For iPhone/iPad/iPod)による収益確保が最大の理由とされるものの、他にも理由があるのではないかとも言われていました。

Appleはこれまで、MacbookやiPadなど、色々な自社製品にUSB-C端子への移行をすすめています。理由は簡単で、転送速度の高速化、最大100W(20V/5A)の充電、4K映像2つか8K映像1つの映像信号転送といった製品機能向上にあたり、Lightingのままでは限界があったからです。

USB-Cの特徴

USB-Cコネクタ部
USB-Cは、コネクタの表裏に関係なく挿入できる小さな楕円形の形状に加え、3つの特徴があります。
従来のUSBケーブルにはない長所を持つため、今後の標準規格となっていくでしょう。

データの高速伝送に対応!

USB-Cの規格次第になりますが、480Mbps~40Gbpsの通信速度が出力可能です。従来のUSBであれば最大でも5Gbpsだった事を考えると、かなりの高速通信が可能になったと言えるでしょう。
ただし、利用にはケーブル、コネクタ、機器の全てが対応している必要があります。

USB Power Deliveryに対応!

USB Power Deliveryに対応したケーブルは、両側がUSB-Cである事が前提となります。
USB Type-Cのケーブルであれば、双方向に電力供給ができます。入力側と出力側を気にしなくて良いので、とても使いやすいと言えるでしょう。ロールスワップという機能により、電力の供給側と受給側をスワップ(入れ替え)可能となりました。例えば、パソコンに電源ケーブルが接続されていればパソコンから別の機器にUSB-Cで電力供給が可能であり、逆の条件であればパソコンは電力供給を受ける側になります。

USB Power Deliveryに対応したことにより、最大100Wの電力を供給できるようになりました。
例えば、モバイルバッテリーや充電器はたいてい5W程度ですが、パソコンやディスプレイはもっと大きな電力を消費します。
USB Power Deliveryでは、5V、9V、15V、20Vの4つの電圧に対応した電力が供給できますので、USB Type-C端子がついた電源アダプタが1つあれば、ノートパソコンやスマートフォン、液晶ディスプレイなど、異なる機器への充電が可能となります。
ただし、利用にはケーブル、コネクタ、機器の全てが対応している必要があります。

急速充電はCCラインがあるもののみ対応

USB-C端子には、接続機器に関わる情報だけを通信する「CC」という信号ラインがあります。USB-Cケーブルの中央部に存在するCCラインは、片側だけがUSB-Cになっているケーブルにはなかったりするため、急速充電したい方は注意が必要です。
例えば、USB A-Type-Cケーブル、micro USBケーブルなどにはCCラインそのものが存在しないため、5V未満の電圧しか出せず、急速充電非対応となります。
仕組みとしては、電力供給を受ける側は「必要な電流・電圧情報」、電力を送る側は「供給能力の情報」を送り合うことで急速充電が可能か判断し、自動で急速充電用の電圧に切り替わる、というものとなります。

オルタネートモードに対応!

USB 3.1以降に対応したUSB Type-Cは、オルタネートモードという機能を利用することができます。
オルタネートモードとは、従来のUSB規格で出せなかった信号を出力するものです。例えば、HDMIのように映像出力が可能となっています。
ただし、利用にはケーブル、コネクタ、機器の全てが対応している必要があります。
オルタネートモードに対応しているか確認したい場合、メーカーサイトの商品情報から判断する必要があるため、オルタネート対応か判断するのは難しいのが実情です。ただし、USB4では標準の機能となると言われているため、いずれは対応状況の確認が不要となる見込みです。

USB-Cの種類

USB-Cケーブル
USB-Cは、端子が同じでも性能が異なる場合があります。
USB-Cは、コネクターの内側のピンの数、連結している線の数や種類、あるいは端子のバージョンによってできる事が変わるので、種類が多いことを認識しておきましょう。

USB-Cは、給電能力も異なります。
従来のUSB 3.0のケーブルでは5V 0.9A(4.5W)までの電源供給が可能でしたが、接続機器によっては電力不足でした。従来のUSB2.0ケーブルに至っては5V 0.5A(2.5W)までしか電源供給できず、USB BC(Battery Charging)対応でも5V 1.5A(7.5A)が最大の電源供給であった中、別途、電源を確保する必要がありました。
ケーブルの両側がUSB-Cのケーブルの給電能力は、最低でも5V 1.5A(7.5A)と高くなっています。5V/3A(15W)に対応するものもあり、基本の給電能力だけでも従来以上です。
さらに、ケーブルの両側がUSB-CとなっているケーブルのUSB PDでは、最大100Wまでの出力に対応しています。ただし、60Wを超える電力での出力は、20V/5A給電対応のUSB-Cケーブルが必要です。

USB-C

USB-Cケーブル
USB-C(USB Type-C)は、USB 3.1とほぼ同じタイミングで流通するようになった規格です。
規格により通信速度や機能に違いが有り、USB 2.0対応であれば、データ転送速度は480Mbpsとなります。
USB3.2 Gen1対応はデータ転送速度が5Gbps、USB3.2 Gen2対応はデータ転送速度が10Gbpsといったように違いがあり、「Gen」という聞き慣れない表記に戸惑う人が多いでしょう。
Genとは、速度を示すものです。Gen2の後に続いてGen2X2というようにつくX2表記は、デュアルレーンを示しています。
デュアルレーンはケーブルの両側がUSB-Cになっている場合に使える高速転送であり、最大速度が2倍となるのが特徴と覚えておくと良いでしょう。

データ転送性能

規格名(モールド) 最大転送速度 転送距離 オルタネートモード
USB2.0 480Mbps 4m
USB3.1 Gen1
(USB3.0)
5Gbps 2m
(解像度規定なし)
USB3.1 Gen2 10Gbps 1m
(解像度規定なし)
USB3.2 Gen1
(USB3.0)
5Gbps 2m
(解像度規定なし)
USB3.2 Gen2 10Gbps 1m
(解像度規定なし)
USB3.2 Gen2X2 20Gbps 1m
(解像度規定なし)
USB4 Gen3X1 20Gbps 0.8m
(解像度規定なし)
USB4 Gen3X2 40Gbps 0.8m
(解像度規定なし)

給電性能

規格名(モールド) 給電力 Power Delivery
USB2.0 5V/1.5A(7.5W)
もしくは
5V/3A(15W)
最大20V/3A(60W)
もしくは
最大20V/5A(100W)
USB3.1 Gen1
(USB3.0)
USB3.1 Gen2
USB3.2 Gen1
(USB3.0)
USB3.2 Gen2
USB3.2 Gen2X2
USB4 Gen3X1
USB4 Gen3X2

USB-C(Thunderbolt)

USB-C Thunderboltケーブル
本来は別のコネクタ形状だったThunderboltですが、2015年の「Thunderbolt 3」において、コネクタ形状がUSB-Cに変更されました。
ThunderboltはApple製品などに採用されている高速通信規格であり、稲妻のマークとバージョンを示す数字が表記されているのが特徴です。
Thunderbolt3に対応したケーブルであれば、最大40Gbpsという高速通信が可能となります。アクティブタイプとパッシブタイプ、ケーブルの長さなどの条件でデータの最大転送速度が異なってくるため、ややこしいと感じる人も多いでしょう。
通常のUSB-Cとの違いとして、オルタネートモード対応の場合は4K解像度x2、もしくは8K解像度x1の映像信号を出せることが規定されている点があげられます。

最新のThunderbolt 4ではケーブル長さが2mまでであれば、最大40Gbpsでの転送速度が可能となっているようです。

データ転送性能

規格名(モールド) 最大転送速度 転送距離 オルタネートモード
Thunderbolt3
(アクティブ)
40Gbps 0.8m超
Thunderbolt3
(パッシブ/50cm以上)
20Gbps 0.8m超
4K解像度x1
Thunderbolt3
(パッシブ/50cm未満)
40Gbps 0.8m
4K解像度x1
Thunderbolt4 40Gbps 2m
4K解像度x2
もしくは
8K解像度x1

給電性能

規格名(モールド) 給電力 Power Delivery
Thunderbolt3
(アクティブ)
5V/3A(15W) 最大20V/5A(100W)
Thunderbolt3
(パッシブ/50cm以上)
Thunderbolt3
(パッシブ/50cm未満)
Thunderbolt4

2024年には、microUSBとLightingは旧式扱い

古い機器
2024年以降にEU圏で販売される端末の充電端子は、USB-C搭載を前提としています。
世界的に新型の端末に搭載される端子はUSB-C端子となり、microUSBやLighting端子は旧型にのみ搭載されるものとなるでしょう。必然的に、microUSBケーブルやLightingケーブルの流通も少なくなり、時代遅れになっていることが想定されます。

USB-Cへの統一は、利便性の向上と廃棄物の抑制が主目的

元々、今回のUSB-Cへの統一は、2つの目的があります。欧州連合(EU)は企業ではなく、一般消費者のために規格統一に踏み切っており、目的は正当であるように思えます。

  • 同じコネクタの充電器やケーブルで良くなる、利便性アップ目的
  • 充電器の共通化で、電子機器の廃棄物を減らす目的

USB-Cへの統一で分かりやすくなる一方、USB-C自体で仕様が異なるものがある事に注意しましょう。今のうちから特徴や種類を理解しておけば、見た目が同じために騙される事もなくなります。

今後、iPhoneの購入は慎重にすると良い

iPhone14にはLighting端子の搭載が決定しています。USB-C搭載のiPhone15を待てる人は、購入を控えるのが賢い選択となるでしょう。
急激な円安の影響もあり、iPhone14は値上げの可能性が高く、元々買い替えせざるを得ない人が購入者の大半を占める可能性もあります。

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